イマジネーションが持つ力

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イマジネーションが持つ力

(出典:『潜在意識が答えを知っている』マクスウェル・マルツ著、ダン・S・ケネディ編、田中孝顕訳、きこ書房)

人間はイマジネーションによって行動している

 イマジネーションなんて自分には関係ない。芸術家や作家といった特別な人だけのものだ――そんなふうに思っている人はいないだろうか?
 しかし、私たちはみな、イマジネーションを使って生活している。すべての行動の原因は、「意思」ではなく「イマジネーション」なのだ。
 人間は常に、自分と自分がおかれた環境について「真実だとイメージしたこと」をもとに行動し、感じ、何かを成し遂げている。そのイメージをこえた行動をしても長くは続かない。それが人間の心の基本法則なのだ。私たちはそのようにできている。

 こうした心の法則は、催眠術にかかった人にありありと見て取れる。催眠術とはオカルトめいたものでもなければマジックでもない。人間の脳と神経系の正常な活動と言えるのだ。
 たとえば、「今、あなたは北極にいる」と言われたら、ガタガタ震えて寒そうな感覚を抱くだけでなく、体も寒さを感じる反応を示し鳥肌を立てる。
 同じような現象は、大学生を対象に行った実験でも実証されている。「片手を氷水の中に突っ込んでいる」とイメージさせたところ、その手の温度が下がったのだ。

 このように人間の神経系は、「イマジーネション」での体験と「現実」との体験を区別することができないのである。どちらの場合も、与えられた情報によって神経系が自動的に反応する。人間の神経系というのは、真実だと考えたりイメージしたりしたことに応じて適切に反応するようにできているからだ。

 このことから、自分自身に関する知識やメンタル・イメージが歪んでいたり、現実と違っていたりしたら、周囲の環境に対する反応も不適切なものになってしまう、ということがわかる。しかしこの事実は、逆に、イメージを上手に使う方法を身につけることで、行動や感情を変えられることをも意味する。

明確なイメージが行動への原動力となる

 有史以来、成功を収めてきた人は、方法の違いはあるものの、皆、メンタル・イメージとリハーサル演習を積み重ねてきた。
 例えば、ホテル王コンラッド・ヒルトンは、最初にホテルを買収するはるか以前、自分がホテルを経営するところをイメージしていたという。少年時代のヒルトンは、よくホテルのオーナーになる遊びをした。ヒルトンの成功は貴族の未亡人のものだった荒廃した物件を購入したときに始まる。それは彼の手で美しい一級の物件として生まれ変わったが、ヒルトンは言っている。

 「最初にその物件を見つけたとき、現状としてみるのでなく、改装後のホテルとして細部まで鮮明な絵を描いた」
 自分の望む結果がもう出ているかのように、それに思いを集中することは、最終的に成功を収める大きな要因である。重要なのは、失敗のイメージを呼び起こさせず、ポジティブな結果を必然とみなし、それだけを考えることだ。

「出来ない」と思う自分を捨てる

 程度の差はあるにせよ、すべての人は催眠術にかかっていると言っても過言ではない。その催眠術が役目を果たすのは、他人から無条件に受け入れた考えであることもあれば、何度も自分に言い聞かせたり、真実だと納得したりした考えのこともある。
 私たちが劣等感を抱き、挫折するのは実力や知識が実際に劣っているからではない。劣っていると感じるためなのだ。
 実際は、誰にでも、自分に出来るとは夢にも思わなかったことを無し遂げる力が備わっている。そのパワーは現在の思い込みを変えるだけで、すぐに使えるようになる。「自分には出来ない」とか「自分は大した人間じゃない」といったネガティブな考え方から自分を目覚めさせるだけで、本来のパワーを発揮できるようになるのだ。

 催眠状態から目覚めるには、身体をリラックスさせることが重要となる。私たちが抱いている思い込みや習慣は、それがどのようなものであれ、労せず形成されている。決して、必死に意志の力を働かせて出来上がったものではないのだ。
 したがって、思い込みや習慣を新たに形成するときには、催眠状態から目覚めるのと同じ方法、つまりリラックスした状態で行う必要がある。

 身体のリラクゼーションは、毎日実践していると、それとともに「心のリラクゼーション」と「リラックスした態度」をもたらす。これにより、自らの自動制御メカニズムの意識的なコントロールが可能になる。
 また、身体のリラクゼーションは、それだけでネガティブな態度やネガティブな反応のパターンという催眠状態から私たちを目覚めさせるという大きな威力を発揮する。そこで、次に挙げるメンタル・トレーニングを実行してみよう。

イメージトレーニング法

イマジネーション

 まず、自分の過去からリラックスできる楽しいシーンを思い出そう。人生には必ず、くつろいで安らかな気分になれたときがあるはずだ。自分がリラックスしているイメージを見つけ出して、その詳細な記憶を呼び起こしてみよう。

 それは山間の湖で釣りをしているときに見た落ち着いた景色かもしれない。もしそうなら、その景色を構成する些細なものに注意を向けてみよう。湖面に立つ静かなさざ波を思い出してみる。どんな音がしていただろうか?木の葉が静かにざわめく音は聞こえただろうか?
 あるいは、浜辺で日光浴をしているところを思い出したかもしれない。身体に当たる砂の感触はどうだったろう?暖かい太陽の光が身体をなで、くつろいだ気分になれたのではないだろうか?穏やかな風は吹いていただろうか?

 こうした細かい点をどんどん思い出してイメージしていけば、それだけ成功に近づいていくはずだ。これを毎日実践していると、メンタル・イメージや記憶がいよいよはっきりしたものになってくる。学習の効果も蓄積されてくる。メンタル・イメージと身体の感覚との結びつきも強化される。あなたはどんどんリラクゼーションがうまくなり、そのこと自体を将来実践するときに「思い出せる」ようになるのである。

自己イメージを変える毎日30分のエクササイズ

 あなたの宗教的・思想的・哲学的な立場がどうだろうと関係ない。また、この方法をどう表現してもかまわない。イメージトレーニングだろうが視覚化だろうが、メンタル・イメージだろうが、好きに呼んでもらってかまわない。

 ただ大切なのは行動することだ。これを利用する目標を決めて、真面目に取り組めば、十分に満足のいく結果を得られるはずだ。そして一生を使い続けることで、すばらしい恩恵にあずかれるだろう。
 現在のあなたの自己イメージは、かつて自分について描いたイメージをもとに構築されている。それまでの経験による解釈や評価から生まれたものだ。したがって、ふさわしい自己イメージを構築することもできるのである。
 そこで、手始めにすべきエクササイズを挙げよう。
 

自己イメージ構築のエクササイズ

 まず毎日30分、邪魔の入らないところで、ひとりになろう。リラックスしてできるだけ気を楽にする。それから目を閉じて、イマジネーションを働かせよう。「大きなスクリーンに映された自分自身の映画を観ている」とイメージしてみる。
 大切なのは、その映像をできるだけ鮮明に、しかも詳しくイメージすることである。あなたのメンタル・イメージを、なるべく現実の経験に近づける必要がある。そのためには、イメージした世界の細部、つまり光景や音やそこにある物に注意を払おう。

 このエクササイズでは、何よりもイメージした世界の細部が重要となる。こうしたイマジネーションが十分に鮮明かつ詳細なものなら、イメージ・トレーニングは、あなたの神経系にとって、現実の経験と変わらないものとなる。
 次に、その30分間、自分が完璧に適切な行動や反応をしているところを思い描く。昨日どう行動していたかは問題ではないし、明日は完璧な行動をとっていると無理に信じようとする必要もない。

 トレーニングを続けさえすれば、そんなことはいずれ神経が何とかしてくれる。希望するとおりに行動し、感じ、生きている自分を思い浮かべよう。「明日はこんなふうにするぞ」などと自分に言い聞かせないこと。「今日これから30分、自分がこんなふうにしているところをイメージしよう」と思うだけでいい。
 すでに自分の望むタイプの人格になっていたとしたら、どう感じるかをイメージする。もし内気で臆病な性格なら、たくさんの人と気楽に堂々と付き合い、それを心地よく感じている姿を想像しよう。

 何らかの状況が怖くて不安なら、冷静に振る舞い、自身と勇気をもって行動し、安心感を覚えている姿を想像しよう。このエクササイズによって、脳と中枢神経に新しい「記憶」、すなわち蓄積データが組み込まれる。新しい自己イメージが出来上がるのである。
 しばらく続ければ、やがて意識せずに自動的に「それまでとは違った行動をしている」自分に気づくだろう。今の自分がダメだとか、今の立場にふさわしくないと感じるのにいちいち意識したり努力したりしないはずだ。その反対の習慣を身につければいいのである。

 現時点でのふさわしくない感情や行動は、自らの自動制御メカニズムに組み込まれた現実の記憶やイメージの記憶に基づく自動的なものだ。同様に、この自動制御メカニズムがネガティブな思考や経験だけでなく、ポジティブな思考や経験にも自動的に働きかけることに気づくものだろう。

あなたは、「劣って」はいない。
あなたは、「優れて」もいない。
あなたは、ただ「あなた」であるにすぎない。

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